監督・脚本:河邑厚德 語り:役所広司 朗読:山根基世 監修:今村文彦 総合プロデューサー・撮影監督:智片通博 音楽:川田俊介 ストリングス:金子飛鳥 ピアノ:Febian Reza Pane ボーカル:Yucca 音楽監督:尾上政幸 デザイン:粟辻美早、喜田夏記、金箱淳一、木村宗平、市川千鶴子 撮影:伊藤孝雄、金古光雄、小林正英 3D技術:斉藤 晶、井上寛敦、古川弘之、後夷正章 空撮:大高悦裕、大江一志 取材:岡田 亨、原田美奈子、村山 至、仲野 全 編集:荊尾明子 取材協力:東北大学災害科学国際研究所 製作:児野昭彦 製作著作:NHKメディアテクノロジー 協賛:NHKエンタープライズ、NHKエデュケーショナル、NHKグローバルメディアサービス、NHKプロモーション、NHKアート、NHK出版、NHKビジネスクリエイト、NHKアイテック 配給:ソニーPCL 2015年/日本/ドキュメンタリー/カラー/80分/デジタル ©2015NHKメディアテクノロジー

忘れたい。でも、忘れない。忘れてはいけない。そんな被災者の思いを3Dで映像化。3Dという新たな技術によって表現できた世界がある。大自然に痛めつけられながらも、自然と共に生きる人々。ここに、人間と自然との新たな営みがある。池上 彰(ジャーナリスト) 私は、この記録そのものを言葉にすることは、どうしても、できません。唯一申し上げれば、この製作にたづさわった方々の気概です。この事実を生々しく遺すことで「後世を守らん」とされた。社会愛です。その気力を尊敬いたします。辰巳芳子(料理家) 繰り返される災害に耐えてもくもくと手を動かす姿に人間の尊厳を感じた。宮田亮平(東京藝術大学学長)
「土地」と「ことば」と「時間」の3つの軸で立体的に構成されている世界唯一の3Dによる震災映像記録。あの震災の実態がよりリアリティをもって感じられる、忘れてはならない震災の記録である。今村文彦(東北大学災害科学国際研究所所長)  津波でみぢかな人を亡くされた方の気持ちがひしひしと伝わってくる。大災害に遭遇した時、命を守り生き抜くことの大切さや、生き残った者として災害を後世に伝えることの意義をあらためて教えてくれる貴重な映画だ。河田惠昭(阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター長) 「大災害を可能な限り、リアルに記録し語り継ぐ」この映像からは、そんな製作者と災害を受けた方々の心を感じます。映画作りに少しでも参加出来たことに、感謝します。役所広司(俳優)

津波と人の物語

陸前高田(米沢さんの物語)

陸前高田(米沢さんの物語)

3月11日朝、家族全員が集まり赤ちゃんを真ん中に写真を撮った。妻が実家から戻ってのお宮参りだった。米沢さんの両親は、両手にはじめて初孫を抱いた。
その3時間後、両親は指定避難場所で犠牲に。米沢さんは三階建てのビル屋上で津波にのまれたが数センチの差で生き残った。無人の荒野となった陸前高田で、米沢さんはビルの保存を決意。娘はいま三歳になった。震災を風化させないためにも語り継ぐ証拠がいる。かつての暮らしの唯一の記憶を個人で残すつもりだ。

気仙沼(菅原さんの物語)

気仙沼(菅原さんの物語)

港に近いかもめ通りで酒屋を経営。握りあった手を放した瞬間に、夫は津波にさらわれた。満天の星と上弦の月を見ながら物干し台で夜を過ごした。火災が発生し、漁船が次々に流されてきた。翌朝、助けを求める菅原さんの姿を、ヘリコプターから新聞社のカメラマンがとらえた。夫への思いを綴った手紙が「日本恋文大賞」となる。1年3か月後、夫の遺体が発見された。津波の象徴ともなったあの大型漁船が漂流したかもめ通りは消えたが、生き残った二人の息子と仮店舗を再開した。

宮古市田老(松本さんの物語)

宮古市田老(松本さんの物語)

住民の四割が流された昭和大津波の直前に田老で生まれたミヤさんの「津波の申し子」のような人生。万里の長城にも例えられた大防潮堤の建設と共に育ったミヤさんは、二重の防潮提を故郷の誇りと感じてきた。しかし、日本一の防災の町に生きる安心は、平成大津波で再び砕けた。夫と建てた観光ホテルは、国の震災遺構第一号として保存されることになった。ミヤさんはいま改めて「津波と闘ってはいけない、ただ逃げるんだ、逃げるしかない」と訴える。

南三陸町(佐藤さんの物語)

南三陸町(佐藤さんの物語)

悲劇の舞台となった南三陸町防災対策庁舎。屋上に避難した多くの職員が予想を超える大津波で流された。町で写真館を営む佐藤さんは、津波が寄せる前からその瞬間までを自問自答しながらカメラに収めた。記録することが自分に課せられた義務と考えた。衝撃的な映像は、世界にあらためて津波の猛威を伝える決定的な一枚となった。佐藤さんは、その後の町の希望を求めて新しい歩みを始めた。子供たちに希望と津波の真実を語りつたえる覚悟である。

釜石(巡視船きたかみの物語)

釜石(巡視船きたかみの物語)

工業都市釜石は長い年月と予算をかけ、ギネスブックに載る湾口防波堤で守られていた。地震直後に出航した巡視船きたかみは、陸に津波が到達する前に津波を受け、そのすさまじいエネルギーに翻弄された。目の前で防波堤は崩壊。海上で津波来襲を体験した航海士や船長の証言が、知られざる津波の真実を伝える。

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